13800人が本棚に入れています
本棚に追加
美奈はそうは言うものの
「ま、おめでと」
「ありがとう」
「いい男いたら紹介してよね」
「わかってるよ」
実は誰よりも喜んでくれているのは顔を見たらわかる。
「で?もう一緒に住んでるんでしょ?」
「うん。唯が手配してくれて今日から一緒に住むの。だから早めに上がる。フレックスで」
「そっか。早いね。向こうもはやく美月と一緒に住みたいんじゃない?」
定食のお味噌汁が入ったお椀を手に持ったままにやつきながら私を見る。
一緒に住むことは嬉しいのだけれど…。
「何よ。浮かない顔して」
「…いや、何でもない」
「なになに?!気になるんだけど」
実は…そう言って、私は少しずつ話し出した。
とはいっても、この内容は結構相談しにくい話題で…。
「付き合ってから…あれがないの」
「何。あれって」
「だからー!セックスだよ」
「え?!」
私は顔が赤くなっていないか、心配になりながら言葉を続けた。
「…ホテルとか唯の部屋とか泊ってるんだけど、ないの」
「え?!うそでしょ」
「本当だよ。今までは会うたびにしてたのに…これって」
「ほほう、つまりあれね?倦怠期がもう来ちゃったってこと?」
「え?付き合ってまだ一週間経ってないよ」
「そりゃあんた、あんないい男。今までとんでもないくらいいい女抱いてるんだろうからさ。付き合った途端そうなるもの無理はないよ」
美奈の言葉に益々不安になった。
…そりゃ唯ならそうだろうけど。いや、そもそも色気的なものがないのかもしれない。
そういば唯ってどんな人がタイプなのだろう。
最初のコメントを投稿しよう!