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中等部の寮には食堂はあったが厨房が無く、配食サービスの弁当を受け取り食べていたから茶碗と皿に盛られた食事がやたら旨そうに見えた。
見栄えが良い訳ではないのに思わず見とれた位だ。
兄崎の為に白米を茶碗に盛り付け
「頑張ってはみたんだけど、味変じゃねぇ? 米柔らかすぎるよな。お粥一歩手前じゃねぇかこれは」
と自分からわざわざ料理の味を伺う春日に対し、不意に感情の波が押し寄せた。
胸にこみ上げる熱量に息苦しさを覚える。
新婚さんかこのシチュエーションは。
おずおずと兄崎を見る視線と言ったら。
新婚生活一日目夫と初めて食を共にする新妻か。
あぁ堪らん。
そして思わず言葉に出してしまったのだ。
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