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第三章 水族館
僕とウミはすぐに仲良くなった。
なんて生易しい展開になるはずもなく、僕たちが付き合うようになるまでには面倒な紆余曲折があるのだけれど、ここでは割愛することにする。
簡単に説明すれば、僕たち二人は人付き合いが苦手だった。
しかも厄介なことにお互いその自覚はなく、また疑問すら抱いていないという悲劇も相まっている。
ウミは他人の気持ちを推し量るのが苦手で、思いついたらすぐ言動に出す性格だった。いわゆる ”空気が読めない人” と呼ばれるタイプだ。
初対面の彼女は明るく活発な印象を抱かれがちだが、次第にその無遠慮な言動によって自己中心的な人だと思われ、友達が去っていくようになる。
僕と知り合ったとき、ウミには親しい友達がいなかった。
逆に僕は他人の評価を気にしすぎる性格で、仲間外れにされたり、嫌われたりするのを恐れていた。
嫌われるくらいならいっそのこと独りで居たほうがましだと思っていたし、独りで居るほうが誰かと居るより何倍も楽だった。
当時の僕はウミと同様に親しい友達がいなかった。
類は友を呼ぶ。まさしくこの言葉通り、僕とウミは友達になり、やがて付き合うことになった。
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