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オンライン上の神様
ふと気がつくと、俺は神社に立っていた。本物の神社でないことは、周りを見渡した瞬間すぐにわかった。神社の鳥居も賽銭箱も、俺が自分で書いたイラストだ。
目の前には神様が立っていた。
「ここは、『オンライン神社』?」
俺はそのまま神様に話しかけて聞いた。神様もそのまま口頭で返事をする。
「ああ。ネット上にお前の意識だけ持ってきた。体から意識が離れているから、楽だろう」
「確かに、楽です! でも今俺の体はどうなっているんですか?」
「ぼーっとした状態で、机の上に座っている。お前の体は病魔に侵されているのではない。気が塞いでいるのが原因だ。だからこうやって意識を体から開放するだけでよくなるのだよ」
「そうか……ありがとう!」
「調子が悪くなったら、またわしに言え」
神様がそう言った直後に、俺はパソコンの画面を見つめた状態に戻った。さっきより体が軽い。神様の言う通り一度体から意識を離したのが良かったのだろう。
俺は軽やかにキーボードを叩いて神様にメッセージを送った。
「神様、俺はあなたを信じます! 正月に参拝に来た人がいたら、願い叶えてやってください!」
「うむ!」
神様は満足気に微笑んで、返信してきた。
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