走馬灯

1/2
前へ
/389ページ
次へ

走馬灯

 ああ、時の流れが遅い‥‥苦痛も恐怖も無い。  ライブ配信のリスナーのコメントを読み上げちゃんが拾っているが、もう何を言ってるのかも理解できない。  44年という長かったような短かったような人生のハイライトシーンのようなものがスライドショーのように頭をよぎる。  これが走馬灯か?  やっと、死ねる。  やっと、このツマラナイ人生から解放される。  家族とは、縁を切ってあるし、たくさんいた友人も、たった一人の心友以外、全員失った。  心を病んでいた所為か、友人達と一緒に遊ぶ事が、全く楽しくなくなり、自ら距離を取って、自然消滅に近い形で友人の輪から離れたのだ。  僕の理解者なんて、一人いれば充分だ。  彼には寂しい思いをさせるだろう。  僕の死を泣いてくれるかもしれない。  でも彼は強い。  僕が居なくなっても、きっと人生を謳歌してくれるだろう。
/389ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加