覚醒

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「おや。目が覚めましたか?」  なぜか、僕の好きな俳優さんの声がして、虚ろだった世界が、だんだん認識できるようになっていく。  やっぱり病室みたいだ。 「今日は、何年何月何日ですか?」  ちなみに、僕が意識を失ったのは、西暦2021年2月3日。  そういや節分なんて、すっかり忘れて恵方巻も食べてないな。 「2021年如月四日ですよ」 「なんだ、たった1日意識を失ってただけか。でも、今時、2月を如月なんて言う医者も珍しいなぁ」 「2月?‥‥確かに暦としては2月とも言えますが、普通は如月です。そして、キミは、この病室で1年間眠り続けており、奇跡的に目覚めました」 「もう、なんの冗談ですか? ホンマ、勘弁して下さいよ」  しかし、医師の言葉は、真剣に言っているように聞こえる。
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