近づく距離

26/31
前へ
/316ページ
次へ
「んなことしなくていいよ」 「でも……」 「水原さんは充分努力してるだろ。それ以上頑張る必要なんてねぇよ」  本多くんは私が頑張ってることをちゃんと見てくれている。何でかな……それがとても嬉しくて、泣いてしまいそうになるよ。 「でも……まだ他の人とは話せていないので、夏休み明けたら話しかけてみます」 「……どこからそんなに勇気出てくんの?」 「……本多くんが勇気をくれたんですよ?私一人じゃ頑張れなかったです。本多くんが毎日挨拶してくれたから……私に変わるきっかけをくれたから。だから勇気が湧いてくるんです。本多くんに見られても恥ずかしくないようにって」 「…………」 「本多くん?」  返事がなく見れば悠希は、そっぽを向いていた。
/316ページ

最初のコメントを投稿しよう!

75人が本棚に入れています
本棚に追加