自覚

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「じゃあくれぐれも迷惑かけないようにね」 「うん。行ってきます」  少し大きめのバッグを持って、美月は家を出た。 「お姉ちゃんは?」 「今出掛けたわよ。陽菜も出掛けるの?」 「うん、ちょっと……」  駅前に着くと、待ち合わせの噴水の前に立つ。  あー楽しみだなぁ。楽しみすぎて昨日はよく眠れなかった。いつも修学旅行の前の日は、嫌すぎて眠ることが出来なかったけど。嬉しくて眠れないこともあるんだなぁ。 「おはよ」 「あ、本多くん。おはようございます」 「……なんかテンション高い?」 「嬉しくて」 「それは何より」  その後すぐ晴とかすみも合流した。そんな様子を少し離れた所から見ていたのは、陽菜だ。 「何あれ……男と一緒に旅行?ずっと独りだったお姉ちゃんが?……そんなの許さないんだから」  陽菜は携帯を取り出すと、美月と悠希の二人だけ写真におさめた。
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