自覚

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「さあ、着いた」 「わぁ……」  目の前に広がるのは山ばかり、祖母の家の真裏も山で民家は三軒ほどしかなかった。 「八月なのに涼しい……」 「山だからな」 「山だと涼しいんですね」 「ばあちゃん家、扇風機もねぇよ」 「それは凄いですね」 「さあ入った、入った。お昼にしよう」  台所にあるテーブルへ着くと、テーブルの上には朝から用意してくれていたんだろう。天ぷら、コロッケ、煮物、煮豆、サラダが並んでいた。 「わー美味しそう」 「いただきます」  美月はかぼちゃの天ぷらを一口食べる。衣はサクサクで、かぼちゃは柔らかく甘かった。 「とても美味しいです」 「それは良かった」
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