自覚

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「無理って言うの禁止」 「え……でも……」  本多くん、蛙は私にとって未知な生き物なんです。なんか跳んできそうで怖いし……でも。  美月は人差し指を立てると、ゆっくり蛙に近づいた。そしてほんの少しだけ蛙の頭に人差し指が触れた。 「さ、触れた……」 「案外無理って思ってるのは、自分だけだったりすんだよ」  そう言って悠希は笑った。それから四人は道路沿いを歩き、川へとおりた。透き通る水に太陽が反射してキラキラと光る。 「魚がいる」 「釣れるんだって。ほら?」  晴の指さした先では、釣り竿を川へ向かって投げている人の姿があった。  凄い。手で掴めそうなくらい、近くを泳いでる。 「ねぇ、せっかくだから写真撮ろうよ」  かすみは携帯を取り出すと、カメラをインに切り替える。 「笑って、笑ってー」  パシャッと四人の笑顔が、携帯画面におさまった。
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