自覚

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「おやおや、気持ちよさそうに」  気付けば四人は畳の上に仰向けになって眠っていた。眉間にシワを寄せている寝顔の悠希を見て、祖母は指でシワをなくすように擦る。 「……まあだ苦労しとるのかねぇ、この子は」  どのくらい時間が経っただろうか、ふと美月は目を覚ました。  あれ……私寝てた?  目を擦りながら隣を見ると、すぐ傍に悠希の寝顔があり美月は驚いた。  ほ、本多くん……びっくりしたぁ。あ、みんな寝てるんだ。話してたらいつの間にか寝ちゃってたんだ、私達。それにしても……。  美月は横になると、隣で寝ている悠希の寝顔をまじまじと見つめた。  寝顔までかっこ良いなんて……ずるい。なんだか本多くんに出逢ってから毎日がとても楽しいなぁ。こんなに楽しい夏休みは初めてで。友達とお泊まりとかする日が、自分におこるなんて。  本当全部本多くんのおかげだなぁ。本多くんが話しかけてくれて良かった。そのおかげで今の私が居る。声をかけてくれたのが本多くんで良かった。本多くんで……? 「……なんで本多くんじゃなきゃ、嫌だと思うんだろう?」  そう呟いた瞬間悠希が目を覚ました。突然開いた目と目が合い、美月は驚き飛び起きる。
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