自覚

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「ほ、本多くん!?」 「……寝てたのか」  バクバクと鳴る心臓を抑えるように、胸に手を当てる美月。悠希は眠そうにあくびをする。 「き、聞いてました?」 「何が?」 「聞こえてないなら大丈夫です!!」  良かった。聞かれてないみたいで。でもなんで本多くんじゃなきゃ嫌だなんて思ったんだろう……。別に清水くんでも良かったはずなのに。私本多くんが良いと思ってる。 「??」  熱くなった顔をパタパタと手で扇いでいると、悠希の祖母が戸を開けて顔を出した。 「起きたならお風呂入りな」 「水原さん、入ってくれば?俺二人を起こしてるし」 「わ、分かりました」  美月は立ち上がると、小走りで二階の部屋へと向かった。残された悠希は熱くなった耳を指で障る。 「……何なんだよ」
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