自覚

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 その後テレビでお笑い番組を見たり、話をしているうちにすぐ寝る時間になった。 「じゃあ、おやすみー。二人とも」 「おやすみなさい」 「おやすみ」 「おやすみー。また明日ねー」  電気を消して祖母が干しておいてくれた布団の中に潜ると、ふんわりと太陽の匂いがした。 「ねぇねぇ、美月ちゃん。美月ちゃんってさ、好きな人とかいる?」  真っ暗な部屋の中、カーテンの隙間から月明かりの小さな光が二人の視界を照らす。 「好きな人ですか?……たぶんいません。人を好きになったことがなくて」 「そうなんだね。……私はね片思い中なんだぁ。これ話すの美月ちゃんが初めて」  嬉しい……そんなに大切なことを、私に一番に話してくれるなんて。 「秘密にします」 「うん。好きな人がいると楽しいよ?顔を見るだけでドキドキするし、でも嬉しくて。笑った顔が見たくなるし、会いたくなる。胸の奥がきゅーってなるの」 「胸の奥が……」
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