自覚

20/32
前へ
/316ページ
次へ
「ドキドキするのに会いたくて。会えると嬉しくて。気付けばその人のことを考えちゃうんだよ」 「好きな人が出来るなんて、想像が出来なくて」 「気付いたら好きになってるんだよ。目で追っちゃったり、なんとも思ってなかったはずが、いつの間にかね」 「……告白しないんですか?」 「……怖くて。告白してフラれたら、友達でもいられなくなっちゃうから。それにモテるから……ライバルも多いし」  かすみちゃん、やっぱり本多くんのことが好きなんだ。あ、まただ。胸の奥がモヤモヤする。モヤモヤして苦しい。 「美月ちゃんも、好きな人が出来たら教えてね」 「……はい」 「美月ちゃんと恋バナ出来るの楽しみだ……なぁ……」  そう言うとかすみは目を閉じた。美月は仰向けになると、見慣れない天井を見つめた。  好きな人、か。私に好きな人が出来る日なんて来るのかな?やっと友達が出来た。それだけで充分幸せなのに、恋なんて。
/316ページ

最初のコメントを投稿しよう!

75人が本棚に入れています
本棚に追加