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帰りのホームルームも終わり帰り支度を済ませると、美月は立ち上がった。ふと視界に人の足が見えて顔を上げると、そこに立っていたのは悠希だ。
「……なんでそんなんなわけ?」
「…………」
真っ直ぐ見下ろしてくる切れ長な二重の目、少しオレンジかかった茶色の髪はワックスで整えられている。高い鼻に白い肌、男の人でこんなに格好良い人は初めて見たかもしれない、美月はそう思った。
しかし美月は話すことはせず、そのまま教室から出て行く。
「…………」
びっくりしたぁ。同じクラスにあんな格好良い人が居たなんて。それにしても何だったんだろう?
『なんでそんなんなわけ?』
そんなとはどういう意味だろう?今の私のことを言ってるとしたら、なんで誰とも話さないのかって意味だろうか?
だって話すとろくなことがないんだもの。女の子と上手くいかなくなるから。男の子と話すと女の子にどんどん嫌われてしまう。
今も嫌われてるかもしれないけど、これ以上嫌われたくない。関わらなければ傷つかなくて済むから。だから誰とも話したりしない。
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