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「社ですか?」
「そう。小さいけど神社。ここら辺り守ってくれてる氏神様だよ」
木で作られた小さな社には、お酒や果物が奉られていた。悠希は社の前でしゃがむと、手を合わせ手を閉じた。慌てて美月も真似をする。
「……何をお願いしたんですか?」
「願いっーか感謝?いつも婆ちゃん守ってくれてるから」
「優しいんですね」
「……別に普通だろ。水原さんは?」
「私は挨拶ですかね?初めてここに来たので」
「じゃあ来年は、また来た挨拶だな」
来年って……来年もまた連れてきてくれるの?どうしよう、嬉しい。嬉しくて泣きそうだ。そんな当たり前のように私がいる未来を考えてくれるんだね。
「こっち。途中から道ないから」
悠希の言ったとおりで途中までは誰かが手入れしたように道があったが、その先は道という物はなかった。
「これはどうやって行くんですか?」
「まあ木とか掴みながら登る」
「結構……急な斜面ですね」
「滑るから気をつけろよ」
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