言えない気持ち

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 ガチャッと二階の部屋のドアを開けると、敷かれた布団でかすみが寝ていた。起こさないように静かにカバンから着替えを取り出すと、服を脱ぐ。 「……美月ちゃん、その背中どうしたの?」 「起こしちゃいました?すみません」 「ううん。起きてたから」 「山で滑ってしまって」 「大丈夫?」 「はい。本多くんが……。かすみちゃんは頭痛いの治りましたか?」 「……うん」  着替えると土で汚れた服を丸めてカバンが汚れないようにしまった。 「……ねぇ、美月ちゃん。聞いてもいい?」 「何ですか?」 「悠希のこと好き?」  ドキッと心臓が大きく脈打つのが分かった。速まっていく心臓の鼓動をバレないように、美月はなるべく平静を装う。
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