言えない気持ち

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「ほ、本多くんのことですか?好きですよ。だって初めて出来た男友達ですから」 「そういう好きじゃなくて、恋愛としての好きか聞いてるの」 「……恋愛としての好きは、好きじゃありません。恋とかよく分からないですし、今はかすみちゃんがいて、本多くんと清水くんがいて凄く幸せなんです。恋愛とか……とくにいいかなって」 「本当に……?もし美月ちゃんが悠希のこと好きなら私」 「本当に恋とかしてないですから」  そう言って美月は微笑んだ。それを見てかすみは言おうとしていた言葉を止めた。 「恋よりまずはクラスの皆さんと仲良くなることが先ですしね。学校が始まるのが楽しみなんて、初めてのことなんですよ?」 「…………」  かすみちゃんは私が本多くんのことを好きだと言ったら、なんて言うつもりだったんだろう。私も?一緒に頑張ろうとか?  優しいかすみちゃんのことだからきっと自分の気持ちは言わないで私のことを応援してくれるよね?それが分かっているから、私は言えない。本多くんのことが好きだなんてこの先絶対言わないよ。
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