会いたい

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「ムカついたから」 「え?」 「お姉ちゃんに友達が出来たことが。ムカついたの。だからわざと二人だけを写真に撮った」 「なんで……?」 「……私の呼び名知ってる?」 「え?」 「水原美月の妹」  陽菜はゆっくりと美月に近づきながら、じっと目を見て離さない。 「小学生の時からずーっとそう呼ばれてきた。顔を見れば水原美月の妹だ。二言目には似てない、可愛くない、お姉さんを紹介して。小学校の時も中学も同じ校内にいるだけで比較されて。うんざりだった」 「陽菜……」 「私が好きになった人ね、みんなお姉ちゃんに告白してるんだよ?知らないよねー。私にそんな興味ないもんね」 「そんなことなっ!!」 「でもお姉ちゃんはいつも独りだった。嬉しかったなぁ。みんなにモテて仕方ないのに、友達が独りもいないんだから。校内でいつも独りでいるの見るたびに、心の中で思ってた。ざまあみろって」  何を言って……これがあの陽菜なの?いつも私を褒めてくれて、自慢の姉だって言ってくれてた。  美月は体にうまく力が入らず、階段の手すりを握っていなければ座り込んでしまいそうだった。
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