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「写真もね、わざと私と本多くんだけを撮って、二人で旅行に行ったって嘘ついたの。お父さんそれを信じてて」
「妹さんは初めて水原さんと本気で向き合ったんだな」
「本気で、ですか?」
「だってさ、今までみたいに好きなフリしてればいいのに、わざわざそんなことしてさ。本音言ってきたんでしょ?なら水原さんも本音でぶつからないと」
そう言って、悠希は微笑んだ。
「本音……言っていいのかな。これ以上悪くなったら……」
「これ以上悪くなったら?今最悪なのにこれ以上なんてあるの?」
「……ないかもしれません」
「もし……もしこれ以上悪くなることがあるなら、その時は俺の所に来ればいいよ。水原さん一人くらい匿えるよ」
本多くん……。
「なんて……格好つけたけど、家は無理だから晴の所か、かすみの所かな。悪い」
美月は首を振る。その気持ちが嬉しかったから。
「……私、お父さんにちゃんと話します。本多くんのこともかすみちゃんや清水くんのことも。ちゃんと分かってくれるまで」
「水原さんなら出来る」
そう言って悠希は、頭に軽く手を置いた。
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