75人が本棚に入れています
本棚に追加
「本多くん、ありがとうございます。本多くんに会えて良かったです」
「俺も」
手を振り来た道を歩いて行く美月の後ろ姿を見つめながら、悠希は携帯を取り出すと晴に電話をかける。
「あ、晴?今から出て来れる?かすみと二人に話があるんだ」
美月はぎゅっと拳を作ると、力強く歩いた。家に着いたらきっと父親は帰ってきてる。
話そう。何を言われても諦めずに、話をしよう。私には言葉がある。
家に着くと真っ直ぐリビングへ向かった。案の定帰っていた父親は、眉間にシワを寄せた。
「どこに行っていたんだ?」
「……お父さん。話があります」
「話?」
美月はテーブルのいつもの席へ座ると、父親はネクタイを緩めながら椅子へと座る。
「まず旅行に男の子がいること、黙っていてごめんなさい。言ったら反対されると思ったから、言えなかったの」
「だから黙って行ったというのか?」
最初のコメントを投稿しよう!