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「私、私ね……」
ガチャッと音が聞こえた。陽菜がリビングへ入ってきたのが、視界の片隅で見えた。しかし美月は言葉を続けた。
「私……ずっと独りぼっちだったの」
「……何を言っているんだ?」
「小学校三年生くらいからかな?クラスの女の子達に嫌われて、ずっと独りぼっちだった。中学でも……高校でも」
「何を……いつも楽しそうに友達の話をしていたじゃないか?あれは……」
「あれは全部嘘だよ。こんな友達が居たら良いなーとか、友達とこんなことしたいなって。私の全部作り話だよ」
「ま、待って!!」
そう言ったのは、キッチンにいた母親だった。
「去年お友達と花火大会へ行ったわよね?」
「あれね、あれも嘘だよ。本当は独りで行ったんだ。お母さん達にバレたくなくて、いろいろ買ったりして……」
気付けば美月の頬を、涙が伝っていた。
「私……ずっと寂しかった。友達が欲しかった。でもそんなこと恥ずかしくて言えなかった。いじめられてるなんて……知られたくなかったから」
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