75人が本棚に入れています
本棚に追加
「な、だって学校で人気者だって……陽菜も言ってただろう?」
そう聞かれて陽菜は諦めたかのように、ため息をついた。
「嘘だよ」
「……は?」
「お姉ちゃん男にはモテたけど、いつも独りだった。学校の人気者って言うより、男からだけ人気があって。女からは嫌われてたよ」
「あ、はは……。そうなんだ。私女の子から好かれなくて。だから高校ではもう独りでいようって決めたの。男の子とも女の子とも話さない。男の子と話すから女の子に嫌われるくらいなら、もう誰とも話さず独りでいようって」
お父さんの顔が見れない。今どんな気持ちで私の話を聞いてるの?
「でも、でもね?高校二年生になって、ある男の子が私に挨拶してくれたの。無視しても毎日、毎日おはよう、また明日って。
そしたらその友達も同じように毎日挨拶してくれて。その男の子私に言ったんだ。変わりたい?って。
私はずっと変わりたかった。みんなに好かれる人間になりたかったし、友達も本当は欲しかった」
ああ、涙が……視界が滲んでよく見えない。
最初のコメントを投稿しよう!