プロローグ

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 子供の頃から可愛いと褒められることが多かったと思う。誰だって赤ちゃんの時はみんなから可愛いねと言われて育つだろう。  でも可愛いねが綺麗や美人に変わって、今も褒められ続けている。  子供の頃お人形さんみたいに可愛いねと言われたことがあった。母親に買って貰った着せ替え人形を見ながら、自分はこんな顔なのかなと思ったことがある。  過去の出来事から学校では大人しくしていた方がいいことを学んだ。誰とも話さない。笑わない。じっとただ耐えていればいいんだって。まるで今の方が本当に人形のようだ。  男の子なんて嫌い。いつも自分の都合ばかり押しつけてきて、独りでいても気にもしない。女の子達と仲良くなりたいのに、上手くいかない。友達一人作ることがこんなにも難しいとは思わなかった。  ずっと独りぼっちだったのを救ってくれたのは、みんなから人気のある男の子だった。いつも人の輪の中にいて、でもあんまり笑わない不思議な男の子。  ありがとう、気にかけてくれて。ありがとう、出逢ってくれて。あなたのおかげで今の自分が居る。  
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