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『好きな人』
「おっと立ち尽くす人、まっしぐらに走り出す人もいる中、注目の水原美月さんは立ち止まったまま動きません！！これはどうしたのでしょうか！？」
どうしたらいいのか分からない。予定通り清水くんと走ればいいじゃない。でもそうしたら今度は清水くんと噂になるんじゃないかな？
清水くんに迷惑がかかるし、何よりそんな噂を本多くんに聞かれたくない。それに本多くんに彼女が出来るのが嫌なんだ。
「美月ちゃん……」
かすみはギュッと拳を作ると、立ち上がり美月の元へと走り出した。
「おおっと、何でしょうか？女子生徒が水原さんの元へ走って来ます」
「かすみちゃん……」
「美月ちゃん。私の勘違いならごめんね。でも……そうだとしか思えなくて。美月ちゃん、悠希のこと好き？」
「……そんなこと」
「見てて分かるよ。悠希といる時の美月ちゃん凄く可愛いもの。恋してるとね、女の子は可愛くなるんだよ？」
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