彼氏と彼女

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 賑やかだった駅前を離れ、二人は住宅街へと入る。夕陽が二人を優しく包み込んでいた。 「…………」 「…………」  どうしよう。さっきからずっと無言だよ。考えてみたら本多くんそんなに話さない方だった。何か話さなくちゃ……えっと。 「本多くんは私のどこを好きになったんですか?」 「……は?」  あー違う!!聞きたかったけど、まだ聞くには早いと思ってたやつ!! 「いえ、あの……どこというか、いつからというか。全然好かれるようなことした記憶がないので」 「……去年の春だったかな。まだ入学する前、歩いてた時たまたま見かけて」 「……私をですか?」  頷く悠希に、美月は記憶をたぐり寄せる。  去年の春?本多くんと偶然出逢っていたってこと?
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