彼氏と彼女

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「学校のすぐ側で犬を散歩してるお祖父さんが居てさ。その犬が水原さんに懐いて、離れなくて。水原さん凄い嬉しそうに笑っててさ」 「そんなこと……ありましたっけ?」 「水原さんは日常の一部分だから覚えてないかもしれないけど。俺には凄く印象に残ったっていうか。 お祖父さんと楽しそうに話してる姿と、舞い散る桜が凄く綺麗で。そこの高校に通うんですって言ってたから、また会えることが嬉しくて」 「……もしかして探してくれたんですか?」 「探したよ。でも俺の知ってる水原さんはそこにはいなくてさ。いつも無表情で誰とも話さない。何でだろうってずっと不思議だった。 同じクラスになれたら、絶対話しかけようって決めてたんだ」 「なんで……。だって私の噂とか聞いてたはず。なのになんで話しかけようだなんて」 「一目惚れだったから。水原美月に」 「一目惚れ……」
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