文化祭

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「細い手」 「…………」  本多くんが触れるだけで、胸の奥がきゅっと締め付けられる。恥ずかしいのに、嬉しくて。どうしていいのか分からなくなる。  大切な物に触れるみたいに、優しく指で手の甲を撫でる悠希。しばらくそうしていたかと思うと、顔を上げた。  真っ直ぐ見つめる目と目が合い、美月はドキッとする。ゆっくりと伸びてきた手は、美月の頬に触れる。 「本多くん……?」 「……キスしたい。していい?」 「え?えっと……」  戸惑う美月の両頬に手を添えると、悠希はそっと美月の唇にキスをした。  一瞬時間が止まったかと思った。本多くんの顔が近づいてきて、思わず目を瞑った。そうしたら優しく唇に……。  ゆっくり唇が離れる。目を瞑ったままの美月に、悠希はふっと笑った。
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