75人が本棚に入れています
本棚に追加
「細い手」
「…………」
本多くんが触れるだけで、胸の奥がきゅっと締め付けられる。恥ずかしいのに、嬉しくて。どうしていいのか分からなくなる。
大切な物に触れるみたいに、優しく指で手の甲を撫でる悠希。しばらくそうしていたかと思うと、顔を上げた。
真っ直ぐ見つめる目と目が合い、美月はドキッとする。ゆっくりと伸びてきた手は、美月の頬に触れる。
「本多くん……?」
「……キスしたい。していい?」
「え?えっと……」
戸惑う美月の両頬に手を添えると、悠希はそっと美月の唇にキスをした。
一瞬時間が止まったかと思った。本多くんの顔が近づいてきて、思わず目を瞑った。そうしたら優しく唇に……。
ゆっくり唇が離れる。目を瞑ったままの美月に、悠希はふっと笑った。
最初のコメントを投稿しよう!