一歩を

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 恥ずかしさに、美月の顔は一瞬で赤くなる。 「……今度はこっちの番ね?」  それから美月はボールに当たることはなかった。狙っていないのか、ボールは美月を避けて投げられていく。そのたびに美月はボールを拾いに走っては、投げるを繰り返していた。 「ねぇ、この試合いつ終わるの?」 「飽きてきたんだけど」  そんな声が外野から聞こえてきた。ボールに当たらなければ終わらない。当てなければ終わらないけれど、美月の運動神経では当てることが出来ない。試合は長引くだけで、美月は肩で息をしていた。 「ねぇ、なんかおかしくない?あの試合?」  そう聞く晴に悠希は黙って試合を見ていた。 「はぁ……はぁ」 「水原さん……」  かすみも何かおかしいとは思っていたけれど、ボールは投げられているし何より外野にいる自分では何も出来ないことに戸惑っていた。
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