一歩を

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「水原さんさぁ、誰とも話さない氷姫のはずじゃなかった?なんで悠希くんとは話すんだよ!!」  自分の真横を通り過ぎていくボールに、美月の体はびくっと固まる。 「ねぇ、なんで?イケメンだから?本当性格悪いよね」 「み、水原さんは私とも話してくれるよ!!」  そう叫んだのはかすみだ。耳を真っ赤にしながら、敵チームの女子を睨んでいた。 「池田さんも特別だからでしょ?悠希くんの友達だもんね?水原さんさぁ、そんなに目立ちたいわけ?」 「私は……」 「目障りなんだよ!!二度と悠希くんに近づくな!!」  そう言うと女子生徒は思いっきり美月の顔めがけてボールを投げた。バンッと言う音がして、ボールは美月の顔面を直撃した。 「水原さん!!」  あまりの痛さに思わずしゃがみ込んだ。駆け寄ってきたかすみが、背中に手を置く。 「大丈夫?」 「はい……」
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