一歩を

19/19

75人が本棚に入れています
本棚に追加
/316ページ
「俺も見ていたのに、止められなくてごめん」  清水くんまで……。なんて優しい人達なんだろう。私のためにそんな顔をして……何も悪くなんてないのに。 「一人?四人の間違いだろ」  四人って……。  美月は目の前に居る三人を見つめた。その頼もしさに思わず涙が溢れた。 「水原さんが泣いた!?」 「え、やだぁ。ぶつけた所痛いの?大丈夫?」  心配する二人をよそに、美月はこみ上げる涙を抑えることが出来なかった。  独りじゃないんだ、私。いつの間にか私にはこの三人がいたんだ。なんて頼もしい三人なんだろう。  私のことをまるで自分のことのように思ってくれて、心配してくれる優しい人達。こんな人達に声をかけられて良かった。  人って嬉しくても涙が出るんだね。いつも悲しくて辛くて泣いてばかりだったのに。今は胸がいっぱいで仕方ないよ。
/316ページ

最初のコメントを投稿しよう!

75人が本棚に入れています
本棚に追加