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美月は教室へ着くと、黒板に貼ってある席表を確認する。
真ん中の真ん中かぁ。一番嫌な席だわ。
席へ着くとバッグの中身を机の中へとしまう。持ってきていた文庫本を取り出すと、しおりを取り読み始める。
「水原さんが本読んでる」
「誰か声かけてみろよ」
「俺行く」
「あ、バカ!!止めた方が……」
一人の男子生徒が美月の元へやって来たかと思うと、机に手を置き話しかけた。
「水原さん。俺井上って言うんだ。よろしくな」
「…………」
ペラッとページをめくる美月。返ってこない返事に、井上は言葉を続ける。
「水原さん、本好きなんだ。今何読んでるの?」
「…………」
「!!」
「ちくしょう!!」
井上は悔しそうに叫びながら、元いた場所へ走って戻った。
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