友達じゃない

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「えー水原さん、普通に上手いと思う」 「そんなお世辞は大丈夫です」 「いや、俺が言うのもあれだけど、音程合ってるし」 「そりゃ晴よりはな」  それを聞いてかすみが笑う。晴は冷たいと言って頬を膨らませた。  本当に仲良しなんだなぁ、この三人は。同じ中学だって言ってたもんね。いいなぁ、私も仲間に入りたいなぁ。気を遣って誘われるんじゃなく、当たり前のようにそこに居られるようになりたいなんて、ちょっとワガママな願いかな。 「うーん、歌った、歌った」 「水原さん、楽しめた?」  そう聞く晴に、はいと返事をした。ではと帰ろうとすると、悠希に腕を掴まれる。 「行くぞ」 「え、あの……?」 「ばいばーい!!また明日ね」  そう言って、かすみと晴は手を振った。
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