遅すぎるよ

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彼は中学からの付き合いだった。 同じクラスで同じ美術部の同級生。 卒業した後、行く学校が別々でも時間があれば一緒に過ごすことが当たり前だった。 [本当に大好き!これからも一緒にいろんな所行こうー!」 [この前も行ったばかりじゃん!] イケメンでかっこいいのに、甘えん坊で子供っぽいところがあった。 私に向ける笑顔が無邪気で可愛かったな。 [結婚しよう!冗談じゃない、本気だよ。] […アンタとなら一緒になってもいいよ。] 彼は口癖のように[結婚しよう]って言ってたな。 初めは冗談と思ってたけど、彼が真剣に告白してきたから…私も真剣に考えて答えを出した。 私の返事を嬉しそうに聴いて抱きついてきたのを覚えている。 [これ誕生日プレゼント!こいうの好きかなと思って…。] [なにこれー!こんなストラップ初めて見たんだけど!…でも、好き。ありがとうね!] 彼が照れたように渡してきたのは、山菜ストラップだった。 普通だったらブーイングが来ると思うけど、私のことを考えて一生懸命探してきてくれたプレゼントはどんな物でも宝物だった。
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