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「なんか伝言あるんなら聞いときますけど。それでうちのお母さんに言っときますけど」
「……あー、と。俺、部屋の内見ができなかったんで不動産屋さんのほうに寸法が記載されたものが用意できないかお願いしてあったんですよ。そしたらこちらの大家さんのほうで図面のコピーをして頂けるという話だったので今日受け取りに伺ったわけなんですが」
「……はあ」
――ええー、っと。
ちょっと待ってくれイケメンくん。
なんか、早口でべらべらべらーって喋りだしてきたけども。
理解が追いつかないですわ。
だってあたしバカだから。偏差値のよろしくない高校に通ってるバカだから。
「んーっと。新しく住むお部屋の、図面、のコピー、ですか?」
どこかの、適当なアパートの間取り図を、ぱあっと頭に浮かばせる。
あんなののコピーなんか欲しがってるのか、このイケメンくん。
なるほどそうか。家具とか家電とか、新しい部屋にどう置くべきか考えたいわけだね。このイケメンくんは。
うーん。何とかしてあげたい。
うちの母ちゃんに約束をすっぽかされて困っている、このイケメンくんに。
「 真澄?」
手をこまねいていると、うしろから声がふってきた。
ハスキーな女の声が。
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