七、

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 普通に考えて同じ男二人が毎週一緒に出かけていれば、それはほぼ間違いなくデートだと思うのだが、大雅にそのような思いは一切ないようだった。いや、気がつかないふり、目隠しをしているのかもしれない。何も見えていませんよ、このままが一番楽しくて楽ですよ、と。  瑞貴はデートだという自覚はあったが、果たして大雅が性的対象になりうるかはわかりかねた。というのは瑞貴には恋愛感情というものがわからなかったからだ。  高校生まで彼女はいなかったし、好きな人ができたこともなかった。さすがに大学生になって、周りを見て慌てるように彼女を作ったし、それが当然のことだと思っていた。  瑞貴は女の子が恋愛対象だと疑わなかった。当然女の子を好きになるものだと思っていた。しかし実際はそうではなくて、女の子を好きな気持ちは男友達を好きな気持ちを越えることはなかった。逆に男友達を好きな気持ちも、女友達を好きな気持ちを越えることはなかった。  つまり男女に隔たりはない。人として好きな女の子も男友達もいたが、それは似て非なるものではなく、全く一緒な気持ちだったのだ。  
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