ただ君をうちながめむとて

八、

(いつなら会えそうですか)
(来月かな)
(二ヶ月も会えないことになるんですけど)
(試験が終わって、大会も終わってからだからね)
(……わかりました)
(早く会いたい？)

　意地悪な質問を故意的にぶつけると返信に時間がかかった。大雅の頭の中で何かの葛藤が始まったのだろう。

(会いたいとかではなくてですね、いや会いたいは会いたいですけど、いくら忙しいといっても、一ヶ月も二ヶ月も会えないほどですかね。夜に少しくらい時間作れると思うんですけど、小学生や中学生でもあるまいし。いや、無理にとはもちろん言わないですよ。仕事以外にも時間が必要だと思いますし。でもそんな遠い場所に住んでるわけでもないのに、二ヶ月も空くって……)
(つまり、要約すれば俺に早く会いたいってこと？)

　その返信はついに来なかった。

　　　＊

｢先生、県大で特別賞ってどういうことですかね｣
｢特別賞は特別賞だろ｣
｢特別なのにどうして上の大会に進めないんでしょうか｣
｢さあ、どうしてだろうね｣
｢そんなの全然特別じゃない！｣

　演劇部員たちとの打ち上げは焼肉店だった。