冷たい家族

4/7
前へ
/7ページ
次へ
良いお肉が買えたわ。 帰り道、歩きタバコをしている人と通りすがった。 嫌だわ。 なんて下品なの。 匂いも最悪。 害のあるものを待ちきらしながら歩くなんて。 コホンと少し咳き込み、足早に自宅への道を歩く。 家につくとすぐに晩ごはんの準備を始める。 二人の頑張っている姿を思い浮かべながら作る。 二人とも喜ぶだろうな。 玄関の戸が開いた音とただいまという息子の声が聞こえた。 いつも出来上がった頃に隼人と旦那が帰ってくる。 息子と旦那が良い匂いだねと楽しそうに話している声が聞こえる。 「二人ともお帰りなさい」 私が玄関へ向かい、旦那から鞄を受け取ると、無愛想にんっといいながらケーキの箱を渡された。 中身は母さんの好きなチョコレートケーキだよと息子がソッと私に言う。 旦那は黙ったまま洗面所へ向かった。 嬉しさのあまり笑みがふっ溢れてくる。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加