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エリカとは学生の頃からの付き合いだ。
パーツが正しく整った彼女の顔は周りから目を引くものの、その性格が影響してか人付き合い自体はあまりない。
そんなエリカと私を繋ぐものは本だった。
高校の時、別のクラスだったエリカがうちのクラスに突然やってきて、私を呼んだ。
正確には私の名前を叫んだ。
「ねぇ、このクラスに戸川沙耶乃っているー?」
よく通る声が教室に響いた。
一斉にみんなの視線がエリカから私へと集まる。
その様子を見て判断したのかズカズカとエリカは近付いてきた。
「あんたが戸川沙耶乃?」
「そ、そうだけど…」
「ふうん。私、昨日の委員会出なかったんだよね。そしたら担任があんたに詳しいこと聞いてこいって。」
「ああ…美化委員の。でも、そんなに大したことやらなかったしーーー」
次回参加すれば大丈夫って言おうとしたら、
「この本、つまんなかったわよ。それよりもこの一冊前に出た本の方が断然、面白い。読んだ?」
私の手元にある本を見てエリカが突然言ってきた。
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