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プロローグ
◇◇◇
広いお屋敷の中、ひとりお姫様は退屈しておりました。
絵本や童話というものは、なぜ決まってワンパターンなのだろう。もっと刺激的で、心を揺さぶるようなお話が読みたい、と。
窓から夜空を見ていたお姫様の側に、魔法使いが現れて言いました。
“私がもっと、愉しい世界へ連れて行ってあげよう…”
魔法使いが杖を振ると、一冊の本が大きな本棚からするりと抜けて、お姫様の手の上に落ちました。タイトルは、シンデレラ。もう何度も読んだ本です。口を尖らせたお姫様に、魔法使いはにっこりと笑いかけました。
“さあ、読んでおいで。甘美で刺激的な、全く違ったシンデレラをね…”
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