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 二手に分かれて探していると、物音がして亜咲はいつも以上にビクビクと震えるのであった。  そんな亜咲の姿を見た友達の佳代子は亜咲のお姉さんの話をいきなり切り出した。  こんなところに来ていたら、絶対に亜咲の姉は怒るだろうなと言ってその場を和ませるためだった。  佳代子なりの優しさだったのかもしれない。  亜咲と佳代子は小さい頃から亜咲の姉にかなり可愛がってもらっていた過去があり、ひとえにそれは面倒見がとてもよかったのだろう。  いい事をしても、悪いことをしても、本当の姉のように接し、そして時には心の底から褒め、あるいは諭すように怒った。  亜咲は姉の慈しみに染まったたくさんの過去を思い浮かべた。  思い起こせば、思い起こすほどそれは佳代子の想いとは逆に暗い気持ちになっていくのである。  ふと亜咲はあることを思い出した。  亜咲の姉と最後に接した日も、亜咲の姉は優しかった過去を。 (亜咲? なんでそんな暗い顔しているの? なんかあった?)  亜咲はその日クラスの仲の良い友達と他愛のない事で喧嘩をしてしまったのである。  亜咲が一人で泣いていると、 (そうだ! お姉ちゃんがバイクに乗せてあげる!)  亜咲の姉はそう言って、亜咲をバイクに乗せて、亜咲を楽しませようとしたのだ。  そして事件は起こった。  亜咲の姉は三年前、亜咲と近くの山をバイクで走っている時に、山道に飛び出した動物をはねてバイクは派手に転倒し事故を起こしてしまったのだ。  だが亜咲が気づいた時は救急車に運ばれる時で、そこには一緒にいたはずの姉の姿がどこにもなかったのである。
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