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 しばらくして二人が和室まで来ると建物の中をさまよい歩く二人に不気味な静寂と肌を擦りたくなるような冷えた空気が急に二人を包み込んだ。  佳代子は不審に思い、懐中電灯を下に向けると、穴の空いた畳の下から風が出ていることに気づいたのだ。 「ここ…風が通ってない?」  佳代子は亜咲にそう問いかけ、亜咲はそこで足を止めた。 「やめようよ。この先にはいかない方がいい気がする…」 「何のためにここまで来たのよ? 氷の世界の伝説を調べるためでしょ?」 「そうだけど…」  亜咲は服の裾を握って、頑なに拒んだのだ。  その時だった。 「「うわあああああああ!」」  穴の下から聞き覚えのある声が通りぬけてきたのだ。 「浜田達じゃない?」  佳代子はそう言うと、亜咲を残して、先に一人中に入ってしまったのである。 「佳代子!」  一人で怖くなった亜咲も続けて、あとを追う。  穴を降りるとそこには洞窟のような空間が広がっており、先が見えない。  亜咲は持っていた懐中電灯で前後に走る先の見えない空洞を照らすが何も見つからない。  佳代子はすでに奥に一人進んでいった模様でそこにはいなかった。  仕方なしに亜咲は足を震わせながら、洞窟を進んだ。 「みんな! どこ?」  返ってくるのは不気味な風の音に、不規則に刻む水の滴る音だった。  亜咲は一人洞窟の奥に行くと、浜田の言ったような開いた氷の扉を潜ると大きな空間に出る。  彼女は必死に辺りを照らすが、そこはとても大きな闇の空間のようで先を照らせない懐中電灯の光など不気味な暗闇に食われてしまって、何もわからない。  覚悟を決めて仕方なしに足を進めるしかない。  空間を震わす、地を踏む足音を聞きながらとにかく先を行く亜咲。  しばらく先を進むと光の先に何かが見えた。 亜咲は重たい足をゆっくり持ち上げながら行くと誰か女の人が立っていたのだ。  不審に思った亜咲はその女性に近づこうと、声をかけると、そこにいなくなったはずの姉がいたのだ。
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