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「浜田?」
「大丈夫か亜咲?」
「ええ…」
ここで何をしていたのかを聞くと、沖田が襲われて逃げ遅れたと、浜田は言った。
「あいつは何? どうして私のお姉ちゃんの姿をしているの?」
「は? それはどういうことだ?」
「あの氷の化け物…。いなくなった時の私のお姉ちゃんの姿をしているのよ…」
亜咲が喋ったのと同時に、亜咲の耳に何かがゆっくり近づく音が届く。
ずー。ずー。
何かを引きずるような音。
ずー。ずー。
亜咲と浜田は声を殺して、沈黙を保った。
ずー。ずずず。
闇の中を蠢く何かは何かを探しているようだった。
ずずず。ずずず。
亜咲は小声で、
「何をしているんだろう?」
「わからない。多分俺達を探しているんじゃないのか?」
ずー。ずー。
闇の中を蠢く何かの何かを引きずるような音はどんどん遠ざかっていき、
「いったん、上に出よう。このことを誰かに伝えないと…」
「浜田は地上への道わかるの?」
「わからない。俺も必死で逃げてたから…。探すしかないよ…」
音が聞こえなくなったことを確認すると、亜咲と浜田は一気に飛び出して懐中電灯の明かりを頼りに二人は全力で走ろうとしたのだ。
だが…。
「見つけた…」
二人が走り出そうとした時、氷の化け物が二人の頭を殴ったのだ。
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