1.ゲリラ豪雨のあの日

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1.ゲリラ豪雨のあの日

僕は喫茶店を営んでいる。 県道から林に囲まれた脇道に逸れて5分程進んだ先にある、ログハウス調の2階建ての建物…… 『喫茶 Feel〈フィール〉』 亡くなった祖父から受け継いだ大切な店だ。 店員は僕1人だけど、手が回らなくなる程混むことは無いから全然やっていけてる。 ちなみに2階は自宅になっていて、自宅兼職場だからとても生活が楽だ。 ――今日も、ついさっきランチ営業が終了した。 ドアプレートをOPENからCLOSEにひっくり返し、カウンターの一番奥に座る。 「今日は天気良いな」 淹れたての珈琲を飲みながら、窓から見える庭の景色を眺めてそう呟いた。 今週に入ってから3日連続雨だった。 天気予報では今日も雨の予報だったが、その予報は見事にハズレて眩しい太陽と、綺麗な青空が広がっている。 陽の光を浴びると、心做しか元気になれる。 植物でいう光合成みたいな…そんな感じが人間にも備わっている気がする。 「さて、なにか作ろうか」 時刻は15時30分。これから昼休憩をとって、ディナーへ向けて仕込みをしなくてはならない。 いつも簡単にパスタやトーストなど一品料理を作ってランチを済ませている。 空になったコーヒーカップを片手に持ちキッチンへ移動。 今日はフレンチトーストでも作ろうかな……なんて考えていたその時だったー―。
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