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――時刻は17時を回ろうとしていた。
天気予報の通り雨は止み、今はうっすらとオレンジ色になった空が広がっている。濡れた路面に光が反射してキラキラと輝いているのが幻想的だ。
「本当に何から何までありがとうございました」
服も乾き、体も温まった彼女は帰る支度を済ませて僕に一礼した。
僕はバイクにかけていたブルーシートを取りながら彼女に向かって微笑む。
「雨止んで良かったですね。路面滑るので気をつけてくださいね」
「はい」
ヘルメットを被り、黒光りしている大きなバイクに跨る。
細身の女性がこんなに大きなバイクを運転しているなんて……本当にすごいと思う。
ー―エンジンがかかる。
胸に響く重低音、近くで聴くと尚更迫力がすごい。
「また今度お礼しに来ます」
そう告げると、彼女は重低音と共に去っていった。
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