1.ゲリラ豪雨のあの日

5/6
前へ
/6ページ
次へ
――時刻は17時を回ろうとしていた。 天気予報の通り雨は止み、今はうっすらとオレンジ色になった空が広がっている。濡れた路面に光が反射してキラキラと輝いているのが幻想的だ。 「本当に何から何までありがとうございました」 服も乾き、体も温まった彼女は帰る支度を済ませて僕に一礼した。 僕はバイクにかけていたブルーシートを取りながら彼女に向かって微笑む。 「雨止んで良かったですね。路面滑るので気をつけてくださいね」 「はい」 ヘルメットを被り、黒光りしている大きなバイクに跨る。 細身の女性がこんなに大きなバイクを運転しているなんて……本当にすごいと思う。 ー―エンジンがかかる。 胸に響く重低音、近くで聴くと尚更迫力がすごい。 「また今度お礼しに来ます」 そう告げると、彼女は重低音と共に去っていった。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加