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序 章 成れの果て
部屋の中へ足を踏み入れた男二人の目に飛び込んできたのは、ベッドの上で横たわる池田隆司の姿だった。
「ひっ」
一人が小さく悲鳴を上げる。
無理もない。
仰向けに横たわる池田は何も身に着けていなかった。恐らく着ていたと思われる寝間着はベッドの周りに脱ぎ散らかされていた。恰幅の良かった体型は見る影もなく痩せこけ、まるで木乃伊のように骨と皮ばかり。僅かに白髪の混じり始めた豊かな頭髪も、すっかり抜け落ちて辺りに散らばっていた。
そんな姿になりながらも、何かを求めるように池田の右手は天井に向かって真っすぐ伸びていた。
どう見ても息絶えていた。それも、普通の死に方には見えない。
二人は言葉を失い、しばし茫然と池田の亡骸を見つめていた
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