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一マス進む
新宿にある高級そうなマンション。
事務所のある階へのボタンを押し、深呼吸した。
到着階につくとドアの前にはiPadが置かれ、案内が表示されている。
約束相手の名前を入力すると、
ーしばらくお待ちくださいー
と表示が出た。すぐに、
「こんにちは。」
という声とともに顔全体に作り笑顔を張り付けた女性が顔を出した。
その笑顔のせいで目元のしわがはっきりと浮き上がり
きっと実年齢よりも老けて見えているだろう、と失礼なことを思った。
「本日面接のお約束をしておりました、江野です。よろしくお願いします。」
お待ちしておりました、と女性に招き入れられ中へ入った。
中に入って左手には、
自由な服装に身を包んだ女性たちがミーティングをする姿と、
奥でパソコンに向き合う女性の姿。
右奥には小さなキッチンスペースがちらりと見えた。
その手前の小さなミーティングルームに案内され、
「時間までこちらでお待ちください。
本日はリモート面接の方もいらっしゃるので案内メールに従って
5分前にはログインをお願い致します。
わからないことなどありましたら
またお声がけください。」
そう言って簡易カーテンを閉められた。
リモートでよかったんだ…
案内メールを見直したが、ZOOMの案内の下に
時間と事務所への行き方が書かれていたため
てっきり行かなければいけないと思っていたが、
確かにZOOMに参加するならわざわざ来る必要はなかった。
でも来てしまったものは仕方がないので
案内に従って早々に準備をした。
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