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その後、瓦礫を避けつつ、時に床の穴に落ちそうになりながらもスマホのライトを頼りに進んでいると、途中で新たな被害者と合流できた。
ちゃんと生きていて怪我も膝を擦りむいたぐらいで、べそをかいて座り込んで居たのを見付けて保護が出来た。
その人物とは………。
「何でアンタと関わると碌なこと無いのよ!!?この呪い体質!!幽霊ホイホイ!!アタシ達から運吸い取ってんじゃねぇわよ!!」
「はぁ………奈津子も引き込まれてたのね。そうよね、杏奈とか言うヤツと類友っぽいもんね。」
奈津子とはあの暴走幽霊事件以来、ろくに話してもないのだけどね。
飲み会やら合コンやらで杏奈達と一緒につるんでたらしく、ゼミも違うし学部も違うのに仲良くしてたらしい。
何故、杏奈が適当にLINEで幽霊メールを送った時、ついでに律に届かなかったのかは、奈津子が律のアドレスを削除してたからだったと本人達は知らなかった。
『ふん、あの小娘(由美)の仲間か。ワシは気が進まぬが、下手に取り零すと厄介かもしれぬと殿が仰るので仕方なくじゃぞ。』ブツブツ
御先祖は子孫である律の命を脅かした奈津子や由美達が大嫌いだが、この異空間に放置すると思わぬ害が出るかもしれないと渋々同行を許しているらしい。
強面の髭面が益々鬼のようになっていて、じろりと奈津子を睨むと睨まれた本人はその時だけは静かになるみたいだった。
一方、仔狐三匹&チビカラス&仔猫のちっちゃいものクラブは、キンキンと甲高い声でマシンガントークする奈津子に怯えて、お鍋と佳子の懐に息を潜めて隠れていた。
またこのおねえちゃんでしゅ(´・ω・)
うわ。なべにはいってても、みみにひびくぜ。
りっちゃんにおこってるけど、こんかいはかんけいないのにね(-""-;)
うっ、あのときのおもいでが……。
にゃぅ~(*´・ω・)
「………ったく、五月蝿いよ、小娘。敵の栄養にさせないためにとはいえ………これ以上騒ぐなら覚えときなよ?」ドンッ
目の前に妖狐のデカイ肉球が降ってきて、奈津子はヒィッと縮み上がった。
妖狐に関しては、前回ぼんやり見ていたので律への怒りもあって、御先祖よりはビビってなかったようだ。
何だかんだで図太い奈津子だった。
そして、悪運も強いようで一度もあのイドの化け物に会ってないそうだ。
思い出してみれば、前回の幽霊と一体化した由美が包丁で無双してた時も、大怪我はしたが早々に律に押し付け、安全圏に避難してたのだ。
「ぬぅ、奈津子め(悪)運の良いヤツよ。」
「あぁ!?アンタ何か私の事ディスったっしょ!!マジムカつくんですけど!!!」
「ね、ねぇ?あまり騒ぐとあのお化けが来ちゃうわ。それに二人とも、重傷者が居るのよ?早く治療するために脱出に集中しましょうね!!」
ぼそりとボケをかました律の発言に、苛立っていた奈津子が歯を剥き出して噛み付いてくる。
さっきから化け物にいつ気付かれるかハラハラしていた佳子が、とうとう二人に眉を潜めて注意した。
まあ、奈津子さんはこんなことくらいじゃ静かにはならないけども、ヒステリックに叫ぶのだけはおさまった。
その化け物が、崩れかけのゾンビっぽい死神ルックの腐敗臭漂う代物だと言われたからだ。
人一倍綺麗に拘る女子大生が、ベッチャベチャの化け物に寄ってこられると聞いて構わずに大騒ぎするだろうか?
兎に角バッチイのはゴメンで、今でさえ泥とホコリと汗で気持ち悪くて、擦りむいた足もズキズキするのだ。
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