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結局その日は男の足取りも身元もわからず、由奈は病院に連れていかれた。
検査をして打撲のみだったので、由奈は家に帰った。
翌日、事件の調書を作るから警察署に来るように言われ、気が重い。
一人暮らしの部屋にはいると、灯りも点けず座り込んだ。
なんでこんな目に遭うんだ。
自分がなにかいけないことをしたんだろうか。
会社の事を考えて、男が勤めている会社の人間だとは警察には言わなかった。
明日、上司に相談しようと思っていた。
知らず知らず涙が溢れてくる。
一生懸命生きているだけなのに、なんでこんな目に遭うんだろう。
重い体を引きずるようにして、ベッドに倒れこむ。
そのまま由奈は重い眠りに引きずり込まれていく。
男の顔がぐるぐるぐるぐる目の裏を回っている。
知らない…あんたのことなんて知らない…
どんな落ちぶれた惨めな人生を送っていたって、それは自分のせいじゃない…
なんで他人に八つ当たりするの?
翌朝、上司に電話し事情を説明した。
上司はすぐに調査すると請け負ってくれた。
そしてその男に心あたりがあるとも言った。
同期にその特徴に当てはまる男が居るというのだ。
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