17人が本棚に入れています
本棚に追加
俺はただひたすら走っていた。
あれはそう…
駅で電車を降りた後だ。
俺の利用する路線の各駅停車に乗っていた。
時間はもう終電間際。
俺の住むところは都心から30分程だ。
特急や急行は、俺の住む処の駅に止まらない。途中で各駅停車に乗り換えねばならない。
だが混雑を避けるため、俺は都心の始発駅から各駅停車に乗っていた。
15分程時間はロスするのだが、ぎゅうぎゅうと知らない奴に挟まれているくらいならマシだ。
人気のないホームを歩いていると、背後に気配を感じた。
誰か俺の他に降りたっけ?
そう思って後ろを振り返ると、誰も居なかった。
スニーカーの下の砂が鳴る。
「おっかしいな…」
薄ら寒くなって、ひとりごちるとまた歩き出す。
片方に担いでいたリュックを両肩に掛けると、改札口への階段を昇る。
その間も背後にずっと気配を感じていた。
なんだろう…今日はおかしな日だな…
そう思って振り返ると、誰も居ない。
首をかしげながら改札に定期を当てる。
改札を出ると、一旦背後の気配はなくなった。
気のせいだろう。
そう思って、階段を降りた。
最初のコメントを投稿しよう!